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沖ノ島 ってどんなところ?
沖ノ島は九州本土から約60km〔キロメートル〕もはなれているよ。
古くからのしきたりもあって、普通〔ふつう〕は行くことができない特別な島なんだ。
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昔の人は、整った形の沖ノ島を航海〔こうかい〕の目印にして、危険〔きけん〕な海をわたったんだ。そこで、沖ノ島に航海の安全をいのるようになったと考えられているよ。
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エンジンもレーダーもないのに、昔の人はすごかったんだね!
でも、なんで命がけで海をわたったのかな?
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その話はまたあとでね。
沖ノ島は周囲〔しゅうい〕約4km、高さは約243mの小さな島だよ。島全体が、宗像大社沖津宮〔むなかたたいしゃおきつみや〕の境内〔けいだい〕で、宗像三女神〔むなかたさんじょしん〕のうち田心姫神〔たごりひめのかみ〕をまつっているよ。
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宗像大社沖津宮本殿・拝殿
(むなかたたいしゃおきつみやほんでん はいでん) -
小屋島、御門柱、天狗岩(右から)
(こやじま、みかどばしら、てんぐいわ)
小屋島〔こやじま〕・御門柱〔みかどばしら〕・天狗岩〔てんぐいわ〕という三つの岩の小島(岩礁〔がんしょう〕)も、沖津宮の一部なのね。
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沖ノ島の南西約1kmにあるこれらの小島は、古くから沖津宮の海上の鳥居〔とりい〕とみなされてきたんだ。
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今でも、沖ノ島に行く船はこの間を通っているんだね!
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そして沖ノ島には、「禁忌〔きんき〕」という、島を特別な存在〔そんざい〕として守るための数々のしきたり、おきてがあるよ。このおかげで、古代のおまつりのあとや貴重〔きちょう〕な自然が残されてきたんだ。
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沖ノ島 の 禁忌
お言〔い〕わずさま
沖ノ島で見たり聞いたりしたことは、ほかの人に話してはいけません。沖ノ島そのもののことを「お言わずさま」とも呼びました。
一木一石一草〔いちぼくいっせきいっそう〕たりとも持ち出してはならない
沖ノ島の中から何かを持ち出してはいけません。ただし、島にわき出る水だけは「御神水〔ごしんすい〕」として、持ち帰ってもよいとされています。
みそぎ
特別に許〔ゆる〕されて島に入るときにも、事前にはだかになって海に入り、体を清めなければいけません。
四つ足の動物を食べてはいけない
島の中では、豚〔ぶた〕や牛などの四本足の生き物の肉を食べてはいけません。
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いつごろからこういうおきてがあるのかしら?
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はっきりは分からないけど、江戸時代の書物には書かれているよ。島や神様を大事にする気持ちは古代から変わっていないと思うな。
ちなみに今は、宗像大社の神主〔かんぬし〕さん一人が、交代でお宮の管理をしているよ。
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島の自然についてもっと知りたいな!
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南からの対馬暖流〔つしまだんりゅう〕の影響〔えいきょう〕で、暖〔あたた〕かい地域の植物(亜熱帯植物〔あねったいしょくぶつ〕など)が生育しているよ。絶滅〔ぜつめつ〕のおそれのある貴重〔きちょう〕な動植物も多くて、島全体が国の天然記念物に指定されているんだ。
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めずらしい生き物もたくさんいるんでしょ?
変わった色のヘビとかもいそうだな!
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・・・ヘビはいないけど、島は貴重な野鳥の繁殖地〔はんしょくち〕としても有名だよ。春になると10万羽と言われる数のオオミズナギドリが南の島からわたってくるんだ。
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鳥のタマゴを食べてしまうヘビがいないから、鳥の楽園になっているのかもね!
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島の周辺の海にも多くの生き物が生息していて、絶好〔ぜっこう〕の漁場〔ぎょじょう〕になっているんだよ。
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沖ノ島 の 自然
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大きな岩に張〔は〕りつくオオタニワタリ(亜熱帯植物) -
宗像では「オガチ」と呼ばれるオオミズナギドリ -
島の北東の岬〔みさき〕に4本生えているビロウ(亜熱帯植物) -
春に小屋島にやってくるカンムリウミスズメ(国の天然記念物) -
沖ノ島の森で主体を占〔し〕めるタブノキ -
夏に小屋島にやってくるヒメクロウミツバメ -
島でよく見られる常緑〔じょうりょく〕の低木の一つ、ヒゼンマユミ -
夏にみられるウチヤマセンニュウ