世界遺産への道101 ≪「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群 全構成資産の世界遺産登録を目指して≫
2017年06月13日
文化庁は、5月5日、「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」について、ユネスコの諮問機関であるイコモス(国際記念物遺跡会議)が、8つの構成資産のうち宗像大社沖津宮遙拝所、宗像大社中津宮、宗像大社辺津宮、新原・奴山古墳群を除く、沖ノ島と小屋島、御門柱(みかどばしら)、天狗岩に限り世界遺産一覧表に「記載」することが適当であると、勧告したことを発表しました。
このイコモス勧告を受け、5月19日、小川県知事、原崎福津市長、葦津宗像大社宮司、谷井市長は除外された資産についても、できる限り登録が認められるよう、国に要望しました。
「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」は、7月2日から同12日までポーランドのクラクフで開かれる第41回世界遺産委員会で、イコモス勧告を踏まえた審議が行われ、世界遺産一覧表への記載の登録が決定すれば、日本国内で21件目の世界遺産となります。
イコモスの評価について
世界遺産の登録のためには、国家や文化、民族などの枠組みを超え、人類全体にとって現在だけでなく将来世代にも共通した重要性をもつとされる価値「OUV(顕著な普遍的価値)」を備えていることが求められます。日本が主張するOUVは、「神宿る島」を崇拝する伝統が、古代東アジアにおける活発な対外交流が進んだ時期に発展し、今日まで継承されてきたことを物語るまれな物証であることです。今回、イコモスは本遺産のOUVを次のように評価しました。(文化庁速報から)
沖ノ島は、古代祭祀の記録を保存する類まれな「収蔵庫」であり、4世紀から9世紀末まで行われた日本列島と朝鮮半島及びアジア大陸との活発な交流に伴う航海安全祈願のための祭祀の在り方を示す証左である。沖ノ島は、宗像大社の一部となった後も、今日まで「神宿る島」として継承されてきた。
独特の地形学的特徴をもち、膨大な数の奉献品が位置もそのままに遺存する祭祀遺跡が所在する沖ノ島総体によって、この島で行われた500年にもわたる祭祀の在り方が如実に示されている。沖ノ島の原始林、小屋島・御門柱・天狗岩といった岩礁、文書に記録された祭祀行為及び沖ノ島にまつわる禁忌、九州本土及び大島から開けた沖ノ島の眺望もまた、交易の変遷及び信仰の土着化によってその後何世紀もの間に信仰行為や信仰の意味が変容したにもかかわらず、「神宿る島」沖ノ島の聖性が維持されてきたことを示している。
市長コメント
記載という勧告ではありますが、沖ノ島と3つの岩礁に限るという条件が付く厳しい内容にとても驚くとともに、残念な気持ちでいっぱいです。
勧告で除外された資産の価値や正当性を含め、今後、勧告の内容をよく吟味しながら、ユネスコ世界遺産委員会では8つの構成資産全てが記載となるよう、国・県・福津市と手を携え、最後までしっかり取り組んでいきたいと考えています。
注:原崎福津市長の「さき」は、「たつさき」です