世界遺産への道103 ≪「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群8資産全てが世界遺産に≫

ポーランドのクラクフで開かれた第41回世界遺産委員会で「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」が審議され、7月9日、イコモス勧告で除外された4資産を含めた8つ全ての資産が世界遺産一覧表へ記載されました。

 

400人が登録を見守った視聴会

 世界遺産委員会の様子が海の道むなかた館でインターネット中継されました。審議予定日の7月8日には約300人、登録が決まった7月9日には約400人の市民や関係者のみなさんが集まりました。視聴会では同時通訳が行われ、各国の委員が8つの構成資産の一括登録を支持する内容を発言する度に拍手や歓声が起こりました。議論の末に4つの資産に限った内容だったイコモスの勧告から一転、議長が8つの資産一括での世界遺産一覧への記載を採択し、その決定のアナウンスが会場に流れると参加者の割れんばかりの大きな拍手の音が響き渡りました。

 平成14年に始まった世界遺産登録活動が実を結ぶまでの15年間、さまざまな立場で活動に携わり、応援してきた参加者であふれた会場には、感激の涙を流す人、周りの人と握手を交わす人など、あちこちで喜びや安堵の声が聞かれました。

 

世界遺産委員会での主な審議内容

  • 8つの構成資産は、文化的・歴史的に結びついた一体のものであり、本資産の価値を理解するためには8つ全ての構成資産が必要である
  • 本資産は、航海安全を祈願する信仰が古代から現在まで断絶なく続いていることを示しており、価値が高い
  • 航海に関する資産は、今の世界遺産一覧表には少ない分野であり、本資産が世界遺産一覧表へ加わることは、世界遺産一覧表の質の向上に貢献する
  • 沖ノ島へ女性が立ち入ることができないことについて委員国より質問されたところ、我が国より
  1.  沖ノ島へ立ち入ることができるのは原則として神職だけであること
  2. 資産の保全・管理には多くの女性が主体的にかかわっていること

 を説明した

(文化庁速報から)

市長のコメント

 第41回ユネスコ世界遺産委員会において、私たちが強く願っていた全資産の一括登録という結果に喜びと感動がこみ上げ、万感の思いです。

 登録活動がはじまって15年。ようやく世界遺産登録にたどり着きました。ここまで登録活動にご尽力いただいた専門家委員、イコモス勧告以降、関係者に対し、最後までていねいに粘り強く説明していただきました文化庁・外務省をはじめとする関係省庁、福岡県・福津市の関係者、企業のみなさまに感謝申し上げます。

 そして、何よりも長い間応援していただいた宗像市民のみなさまをはじめ、この活動に携わっていただきました全ての方々に深く感謝申し上げます。

 今は登録を素直に喜びたいと思いますが、世界遺産に登録されるというのは、先人たちが守り伝えてきた世界に類例のない貴重な財産を、将来にわたって守り続ける義務を負うということでもあります。今後も、市民のみなさまはじめ、国、福岡県、福津市と手を携えながら、資産の適切な保存・保護、活用に努めてまいりたいと思います。

画像:世界遺産委員会インターネット中継視聴会の様子
世界遺産委員会インターネット中継視聴会
画像:審議を見守る谷井市長(前から2列目の左)
審議を見守る谷井市長(前から2列目の左)