福津市の南東に位置する舎利蔵区。この地に、「福岡県の自然百選」にも選ばれている「舎利蔵自然林」がある。養老2年(718年)に、名僧行基が開いたといわれる勝宝寺跡に広がり、カシやシイなどの木々が陽光をさえぎるほど重なり合っている。その中に悠然とたたずむのが5本のナギの木。樹齢800年と推定され、福岡県の天然記念物に指定されている。行基が勝宝寺を建てた際にインドから持ってきたと伝えられ、5本とも寺の境内に立っている。もっとも大きいのは、鐘楼横に立つ夫婦ナギの雄株(高さ32m)。ナギの葉は、葉脈が網目状ではなく縦に平行して走っており、簡単には引きちぎれない。その強靭さから「力柴」の異名をもち、昔の人々は災難よけのお守りにしていたという言い伝えがある。